仏教の教えの中に「諸行無常」というものがあります。
この世の中のすべてのものごとは、常に移り変わる、永遠に変わらないものは存在しない。
楽しい事が続かないのも無常。
若さや健康が続かないのも無常。
命にも限りがあって、その時がいつ訪れるかわからないのも無常。
この数カ月は、本当に色んなことを考えさせられました。
しかし仏教で「無常」というのは、決して私たちに不安や空しさを感じなさいと言っているわけではありません。
無常を感じる「無常感」ではなく、無常を観ずる「無常観」です。
観ずるとは心落ち着けて正しく見つめなさいよということ。
無常の中に生きているのが私たち。
その中でどのように生きていけば良いのか?
法然上人はこのように仰せです。
「ある時には世間の無常なることを思いて、この世の幾程なき事を知れ。ある時には仏の本願を思いて『必ず迎え給え』と申せ」
この世が無常であることをわきまえなさい。
阿弥陀仏の救いを信じお念仏を称えなさい。
目に見えない新型コロナウイルスの恐怖。
先の見えない日常生活への不安。
そんな時だからこそ、過剰に不安になるのではなく、一度心を落ち着けてお念仏。
一日の中で少しの時間でも、仏さまと自分自身と向き合う時間が大切です。
「いいことが続かないのも無常 悪いことばかり続かないのも無常」
楽しいことはいつまでも続かない。
けれど、どんなにつらく苦しいことも、ずっとそのままではありません。
これも無常です。
お念仏を称えて、無常から目をそらすのではなく、正しく見つめていく。
そうすることで、今ここにあるいのちの尊さ、あたりまえの日常の有り難さに気づき、また新たな一日を過ごせるのではないでしょうか?
南無阿弥陀仏